こんにちは!しょうこです^^
今回は、お茶の名前の由来です。
由来を知ると、そのお茶の強みや特徴が見えてきます。
すると、何がお茶の強みになるのか、美味しいお茶のポイントも見えてきて面白いですよ!
中には、クスっと笑ってしまうユーモアのある名前もあるので、ぜひ最後まで読んでみてください♪
【地名】産地がブランドに!
お茶はワインと同じように、基本的にはその場所で採れたものしか産地を名乗れません。
有名な土地はブランドとしてその地名を入れられることが多いです。
西湖龍井の由来(せいころんじん)
龍井茶は中国を代表する緑茶であり、中国十大銘茶の1つです!
龍井とは、杭州にある村の名前。
その昔、龍井村で作られていたことから「龍井茶」と呼ばれています。
龍井茶の生産地は少しずつ広がっていますが、昔から作られている地域のものはそれだけのブランド力がありますし美味しいので、「〇〇龍井」と地名をつけて売られます。
その中で最も有名なのが「西湖龍井」なのです。
西湖とは杭州にある大きな湖で、周辺を西湖区と言います。
西湖以外にも千島湖龍井、新昌龍井など、様々あります。
また、西湖の中でも特に権威ある地域があります。
「獅峰」「虎跑」「雲栖」「梅家塢」。
これらの地域で作られた龍井は、『獅峰龍井』などとその地域名で呼ばれ、さらなる価値を示すのです。
正山小種の由来(らぷさんすーちょん)
正山小種は世界で最初の紅茶で、ヨーロッパに最初に伝わったお茶としても有名です。
正山とは、福建省の武夷山のこと。
小種とは、葉の小さい品種ということ。
「武夷山で採れた葉の小さい品種のお茶」という意味です。
この武夷山はお茶の世界で特別な山の1つです。
武夷山で作られた青茶(烏龍茶)は総称して「岩茶」と呼ばれ、青茶の中でも特別な分類をされるほど。
正山小種は紅茶なので岩茶には含まれませんが、そんな特別な山で作られた紅茶ということです。
同じ品種でも、武夷山以外で作られたものは「外山小種」と呼ばれます。
蒙頂黄芽の由来(もうちょうこうが)
蒙頂黄芽とは、黄茶の代表格です。
蒙頂とは四川省の蒙頂山のこと。
黄芽とは、黄色い芽ということ。
「蒙頂山で採れた、黄色い新芽を使ったお茶」という意味です。
この蒙頂山は、世界で最初に人工的に茶樹を植えた土地で、お茶界隈でとても特別な場所。
『茶経』という、8世紀頃に著された有名な書にも出てきます。
ブランドとして「蒙頂」と名の付くお茶を、併せて「蒙頂茶」と呼びます。
【葉の形】魅力を引き出すこだわりの形!
中国茶の茶席では、お茶を淹れる前に、お客さんに茶葉を見ていただきます。
美しい茶葉を見るのも、お茶会の楽しみの1つ。
また、そのお茶が一番おいしくなるようにこだわって形作られているものもあります。
葉の形は重要なので、名前に含めることも多いのです!
碧螺春の由来(へきらしゅん)
碧螺春は中国十大銘茶の1つである、とても人気の高い緑茶です。
「碧」は、深い青色。
「螺」は、くるくる螺旋状の形。
「深く美しい青色で螺旋型の春に摘まれたお茶」という意味。
産毛の生えた小さな新芽がくるくるとしていてかわいいのです。
元々地元では”(香りが素晴らしくて)びっくりする!”という意味の言葉で呼ばれていましたが、「この素晴らしいお茶にそんな名前はふさわしくない」と、皇帝が名付けたと言われています。
白毫銀針の由来(はくごうぎんしん)
福建省を代表する白茶であり、白茶を代表格でもあります。
白毫とは、びっしりと産毛に覆われた、芽吹いたばかりの新芽の色を表しています。
毫は筆を意味するので、真っ白い筆のようなイメージでしょうか。
銀針は漢字そのまま、銀色の針です。
英語でもSilver Needle(銀色の針)と呼びます。
針のように繊細な細い形をしています。
「白い筆」「銀色の針」と、同じような例えを繰り返している名前ですね。笑
実際に茶葉を見ると、毛並みの揃った白い毛で覆われており、光の当たる部分は銀色に輝いてとっても美しいです!
この産毛が白茶のおいしさのポイントなので、おいしさが存分に伝わる名前ですね!
君山銀針、雲南金針など、似た名前のお茶もいくつかあります。
【伝説】それぞれの特別なストーリー!
紀元前2700年からの長い歴史をもつお茶。
お茶の世界にはたくさんの伝説や逸話があります。
伝説や逸話から名付けられたお茶もたくさんあるのでご紹介します。
大紅袍の由来(だいこうほう)
大紅袍は青茶(烏龍茶)の王様と言われる、とても有名なお茶です。
先に出てきた正山小種と同じく、福建省の武夷山が原産。
青茶の中でも岩茶と分類される、ミネラル豊富で生命力に溢れるお茶です。
ある青年が、歩いている途中に体調が悪くなり、道端で苦しんでいました。
通りすがりの村人が、その地域で作られているお茶を飲ませると、青年の体調はみるみる回復し、元気になりました。
青年は後に皇帝になり、助けてくれたお礼にと、村人に皇帝の纏う赤いマントを送りました。
そこから「大きな赤いマント」という意味の「大紅袍」と名付けられたのです。(袍=皇帝のマント)
※諸説あります。
鉄観音の由来(てっかんのん)
鉄観音は比較的発酵度が浅い青茶で、緑茶に近い緑色をしています。
有名な産地は福建省の安渓県で、華やかで爽やかながらミルキーさのある、他にないお茶です。
「お寿司には緑茶よりも鉄観音のほうが合う!」という声も。(私はお寿司が食べれないのでわかりませんが…)
コロコロと丸められたかわいい茶葉が特徴ですが、飲んでいるとお湯を含んでどんどん大きくなってきます!
そんな鉄観音の名前の由来は諸説ありますが、いちばん有名なのはこちら。
ある茶農家が、裏山の大きな岩に観音様が現れる夢を見ました。 翌日その岩を見に行ってみると、そこには立派な茶樹が生えていたのです。 その茶葉を観音様のようにずっしりと光沢の出るように製茶しました。 とても美味しいと評判が出たので、茶樹を挿し木で増やし、近所の茶農家にも広まっていきました。
白鶏冠の由来(はっけいかん)
白鶏冠は大紅袍と同じく武夷岩茶の1つで、鉄羅漢、水金亀と合わせて4大岩茶と言われます。
その中でも白鶏冠はひときわ焙煎が浅めで、華やかで女性的な味わいです。
白鶏冠の由来はこちら。
武夷山慧苑寺の僧侶が茶畑で作業をしていると、遠くから激しい鳥の鳴き声が聞こえました。 鳴き声の方へ向かってみると、鶏の雛が鷹に襲われそうになっているところを、母鶏が守っているところでした。 なんとか鷹を追い払うことができたものの、母鶏は傷が深くそのまま亡くなってしまいます。 僧侶は哀れに思い茶畑の隅に埋めてやりました。 すると数年後、母鶏を埋めたところから立派な茶樹が生えたのです。 その葉は白っぽく、鶏冠のようにギザギザとして、あの母鶏を思わせました。
このことから白鶏冠と名付けられました。
【摘んだ時期】春の新芽は別格!
お茶は、春の新芽で作られているものが最も栄養価が高く、繊細で品質がいいとされています。
そのため、「春摘み」「芽のお茶」であることを名前で示します。
- 碧螺春:十大銘茶の1つ。「春」は春摘みのお茶であること。(詳しくは「葉の形」の項目に!)
- 蒙頂黄芽:黄茶の代表格。「黄芽」は、芽でも緑色になる前のまだ黄色い若芽を使っているという意味。黄茶であることも強調している。(詳しくは「地名」の項目に!)
- 白毫銀針:「白毫」は産毛の生えた若い芽であるという意味。(詳しくは「葉の形」の項目に!)
- 新芽香茶:生プーアル茶の1つ。新芽が使われている。
【香り】香りが良ければ味も美味しい!
中国茶は香りをとても重視している。香りが良ければ味もいいとされている→こだわって出された香りの特徴を名前に出す。
- 奇蘭:福建省の武夷岩茶。蘭のような香り。中国では蘭は高貴な香りとされ、いい香りの象徴として使われるため、その香りを褒める意味で蘭が使われた説も。
- 千里香:福建省の武夷岩茶。千里先までいい香りが広がることからつけられた。
- 蜜香紅茶:蜜のように甘い紅茶。虫の力を借りる特殊な製法を用いている。
- 石乳香:福建省の武夷岩茶。乳香というミルキーな香りが特徴。岩茶特有の力強さもありながら、ミルキーでゆったりとした香りが広がる。
【色】美しい色はおいしさの証!
白や金銀など、名前に色が入ったお茶もたくさんあります。
白や銀色は、茶葉に生えた産毛の色。新芽を使った良いお茶だと伝わります。
金色も同様。発酵が進むと産毛は金色になるので、紅茶の場合は金色の茶葉が特に良いとされます。
イギリスの紅茶でも”ゴールデンチップ”と言いますよね♪
新芽をあらわす以外にも、色が美しかったり、特徴的だったりする場合にも使用します。
- 雲南金針:雲南省の紅茶。金色の産毛がしっかりと生えていて美しい。葉の形も針のように細く尖っている。
- 白毫銀針:福建省の白茶。白い産毛に覆われており、光が当たると銀色に輝く。(詳しくは「葉の形」の項目に!)
- 碧螺春:十大銘茶の1つ。「碧」は美しい青色をあらわす。(詳しくは「葉の形」の項目に!)
- 金駿眉:福建省武夷山の紅茶。「金」は美しい葉の色。「駿」は優れているという意味。または駿馬のようなスピードで知れ渡るよう願いを込めて。「眉」は葉の形が美しいことを表している。
- 炭焙煎黒茶:極限まで焙煎した青茶。炭のように黒い色をしている。6分類の黒茶(プーアル茶)ではない。
【比喩】縁起がいいね!美しいね!
縁起のいいものや、他のものに例えて名付けられることもあります。
- 寿眉:産毛により葉が白く見える。仙人の長く白い眉毛のようであることから。
- 月光白(月光美人):白い芽と黒い葉がミックスされているのが特徴の白茶。黒い部分が夜空、白い部分が月明りに見えることから。
【その他】色々あっておもしろい!
鳳凰単叢の由来(ほうおうたんそう)
広東省鳳凰山の青茶。「単叢」とは1本の木という意味で、本当に樹1株のみから作られます。
隣の木の葉も一切混ぜることなく、その茶樹の葉に合った製法で作られるため、出来上がりはそれぞれ異なります。
そのため鳳凰単叢といっても個性はいろいろ。「鳳凰単叢○○香」などとそのお茶の特徴も添えられます。
その魅力にハマる人多数で、鳳凰単叢のみを扱う茶店などもあるほど!
東方美人の由来(とうほうびじん)
東方美人は台湾で生産される青茶です。
海外進出のときに、インパクトのある名前をつけよう!ということで「オリエンタルビューティー」という名で売り出したからという説や、
イギリスのエリザベス女王が、そのおいしさに感動して名付けたという説があります。
東方美人も、先程の蜜香紅茶と同じく虫の力を借りる特殊な製法をしているお茶。
他にない蜜の味がとってもおいしいので、ぜひ良いものを飲んでみてください。
不見天の由来(ふけんてん)
福建省の武夷岩茶です。
武夷山の中でも、崖のへこんで洞窟の様になってる場所で作られています。
そこに生える茶樹は空を見ることができないことから、「不見天」と名付けられました。
かわいそうな気もしますが、ユーモアがあっておもしろいですね!
黃観音/金観音の由来(きかんのん/きんかんのん)
どちらも、「鉄観音」と「黄金桂」という品種の木を掛け合わせてできた子供たちです。
両親から名前をもらって名付けられました。
お茶の特徴としてもそれぞれの良さを引き継いでいて、とっても美味しいですよ!
さいごに
いかがでしたか?
今回はお茶の名前の由来についてご紹介しました。
正統派なものからおもしろいものまで様々でしたね!
新しいお茶はどんどん増えているので、これからどんな名前のお茶が出てくるか楽しみですね。
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