こんにちは!しょうこです。
今回は中国茶の産地についてご紹介します。
茶樹に適した環境とは
茶樹が育つ範囲
産地の前に、まずはお茶の木が育つ地域を見ていきましょう。
茶樹は、比較的広い範囲で育てることができます。
具体的には北緯40°~南緯35°前後で、この範囲を「ティーベルト」と言います。
お茶とよく比較されるコーヒーの生産範囲は北緯25°~南緯25°前後なので、その広さがわかりますね。
範囲が広い分、お茶を生産する国はたくさんあり、約50カ国にものぼります。
良い茶樹が育つ条件
ティーベルトは、茶樹が育つ範囲。
その中でも、美味しいお茶が育つ環境は限られます。
良い茶樹が育つ条件を見ていきましょう。
- 亜熱帯~熱帯の温暖な気候
- 十分な雨量
- きれいな水と空気
- 栄養豊富な土
- 昼と夜の寒暖差がある
- 日当たりの良さ
- 直射日光が当たらない
これらの条件が揃うと美味しいお茶ができるわけです。
具体的には、「高山」。
さらに言うと、「霧のかかった高山」です。
霧によって「日当たりの良さ」と「直射日光が当たらない」この2つの条件を満たすことができます。
人にとって便利でない場所で、良いお茶が生産されているのです。
美味しいお茶を作ってくれる生産者さんへの感謝は尽きません。
お茶の値段は標高に比例するとも言われています。
有名な産地
茶樹の育つ環境、美味しいお茶を育てる条件がわかりましたね。
地図を見ると分かる通り、中国北部はティーベルトの外です。
日本国内でも北海道と沖縄の気候が異なるように、国土の広い中国も気候や地形は大きく異なります。
中国北部の寒冷地帯、西部の高山地帯、北西部の乾燥地帯では茶樹は育ちません。
お茶の生産は南東部に集中しているのです。
では実際に、どの地域でどんなお茶が作られているかを見ていきましょう。
四大茶区
まずは四大茶区から。
これはお茶の産地を、河川や山脈など地形によって分けた地区です。
茶区ごとの環境と、それぞれどんなお茶が生産されているのか見ていきましょう!
江北茶区(こうほくちゃく)
北には黄河、南には長江が流れる地域で、やや平地。
雨量は少なく気温も15℃前後と高くはありませんが、日中と夜の寒暖差が激しい地域です。
河南省、陝西省、甘粛省、山東省、安徽省北部、江蘇省北部などが含まれます。
生産されるお茶は、主に碧螺春などの緑茶です。
江南茶区(こうなんちゃく)
長江の南の地域。生産量が中国全体の3分の2を占める最大の茶区です。
標高は700m程とお茶の生産地としては低めですが、雨量が多く気温は15~20℃とほどほど。
湖南省、江西省、浙江省、安徽省南部、江蘇省南部、湖北省など。
緑茶、紅茶のほか、黄茶、青茶(烏龍茶)、黒茶、花茶などが生産されています。
西南茶区(せいなんちゃく)
中国内陸部の地域で、海に面していません。
標高は1,000~1,500mの高山地帯で、十分な雨量があります。
平均気温は15~20℃ほど。
地域としては、雲南省、貴州省、四川省、重慶市。
もっとも古い茶区で、お茶の起源である雲南省、初めて人工的にお茶を栽培したと言われる四川省が含まれます。
主に紅茶、緑茶、黒茶、黄茶、花茶などを生産しています。
華南茶区(かなんちゃく)
中国の最南地域。標高は1,200m前後と高く、平均気温が18~25℃と温暖な気候。
雨量も多く恵まれた地域です。
広東省、広西チワン族自治区、福建省、海南省、台湾にまたがります。
青茶、黒茶、紅茶、花茶などを生産しており、特に青茶の大生産地と言えます。
有名なお茶どころ
茶区ごとの名産がわかったところで、今度はさらに細かく、省ごとに見ていきましょう。
中国茶と言ったら福建省をイメージされる方が多いかもしれませんが、様々なお茶どころがありますよ!
各省の環境と、それぞれどんなお茶が生産されているのかご紹介します。
山東省(さんとうしょう)
ティーベルトの北部に位置し、中国国内でもお茶を栽培している最北の地域。
平均気温は15℃前後で降雨量が少ないのが特徴です。
緑茶の生産地。
安徽省(あんきしょう)
山東省の南部に位置し、同じく平均気温は15℃前後で降雨量が少ないのが特徴。
安徽省内北部は大平野、南部は大山地と恵まれた地形をしています。
黄山や霍山などの有名な山があり、黄山毛峰や霍山黄芽などが生産されています。
南部の祁門県では、世界三大紅茶の1つである祁門紅茶が有名。
また、戦争を機に途絶え、近年研究の末に100年の時を経て復活した幻のお茶、安茶も生産されています。
江蘇省(こうそしょう)
同じく山東省の南部に位置し、東は海に面しています。
平均気温は15℃前後で降雨量が少ないのが特徴。
碧螺春をはじめとする緑茶が生産されています。
また、南部の宜興市は茶壺の有名な産地です。
紫砂という、陶器用の最上級の土がとれます。
河南省(かなんしょう)
安徽省の西部に位置しており、山地と平地がほどよくある地域です。
平均気温はおおよそ13~20℃で降水量は少なめ。
特に南部は緑茶の生産地です。
湖北省(こほくしょう)
安徽省の西、河南省の南に位置しています。
西には山地が広がり、平均気温は15℃前後ほど。
恩施玉露など有名な緑茶を生産しています。
その他、紅茶や黒茶も。
湖南省(こなんしょう)
湖北省の南部に位置し、長江・洞庭湖の南に広がることから、湖南と呼ばれています。
年間の平均気温は18℃前後で降雨量は少なめ。
全体的に山地が多く、黒茶の茯磚茶や黄茶の君山銀針をはじめ、緑茶、紅茶が作られています。
江西省(こうせいしょう)
湖南省の東部に位置し、年間の平均気温は18℃前後で降雨量は少なめ。
中央が山地となっており、質の高い緑茶が作られる。
北部の景徳鎮市は昔から陶磁器の街として有名。
景徳鎮の上質な陶磁器が、その昔シルクロードを渡りヨーロッパに伝わったと言われています。
白地に青色の柄は景徳鎮を代表するカラーです。
景徳鎮の蓋碗は1つ持っておきたいですね♪
浙江省(せっこうしょう)
江蘇省、上海市の南部に位置し、東は海に面しています。
平均気温は15℃前後で降雨量は少なめ。
中国を代表する茶生産地の1つです。
中国国内でも最大級の茶畑面積を誇り、生産量は日本全国の3倍程。
龍井茶をはじめとする、多くの有名な緑茶が生産されています。
四川省(しせんしょう)
湖北省の西側に位置し、盆地と山地があります。
比較的標高が高く、平均気温は15℃前後、程よい降雨量。
初めて人工的にお茶を栽培したと言われる蒙山があり、蒙頂黄芽や蒙頂甘露など、名だたる緑茶や黄茶が生産されています。
雲南省(うんなんしょう)
四川省の南部に位置し、南部が海に面しています。
比較的標高が高く、平均気温は15℃前後、程よい降雨量と恵まれています。
多様な地形を有し、お茶をはじめ様々な特産品があるのが特徴。
お茶発祥の地域で、現在でも多くの銘茶を生産しています。
プーアル茶で有名な普洱市も雲南省の市です。
黒茶(プーアル茶)、雲南金針などの紅茶、月光美人などの白茶、その他様々なお茶が生産されています。
広西チワン族自治区(こうせいチワンぞくじちく)
雲南省の東部、湖南省の南部に位置しており、南部が海に面しています。
比較的標高が高く、平均気温は15℃前後、程よい降雨量です。
茉莉花茶(ジャスミン)や桂花茶(金木犀)、玫瑰(バラ)など、花茶が生産されています。
広東省(かんとんしょう)
湖南省、江西省の南部に位置し、年間の平均気温は18℃前後で降雨量は少なめ。
南部は海に面しており、東北部の山地がお茶の産地です。
鳳凰単欉をはじめとした青茶が特産で、英徳紅茶などの有名な紅茶も作られています。
福建省(ふっけんしょう)
江西省の東部、浙江省の南部に位置し、東南部が海に面しています。
標高は300~700mと比較的低いながらほぼすべてが山地で、温暖な気候。
青茶発祥の地で、大紅袍をはじめとする武夷岩茶や鉄観音が有名です。
また、世界で最初の紅茶である正山小種、最高級白茶である白毫銀針など、名だたるお茶が生産されています。
「中国茶といえば福建省」と言えるくらいの大生産地です。
台湾(たいわん)
台湾は中央部をほぼ山地が占めています。
1,000m級の高山が多く、質の高い青茶を数多く生産。
日本でも馴染みのあるお茶も多数見受けられます。
さいごに
いかがでしたか?
それぞれのお茶の産地は知っていても、茶区単位、省単位での特産を知る機会は意外と少ないと思います。
その地形や気候にあったお茶が生産されているのがわかり、とてもおもしろいですね。
旅行に行った際は、ぜひ特産のお茶買って見てください♪
コメント